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【オーストラリア】過去の気象レーダー画像がアーカイブされている意味

こんにちは。渡邉です。

今日はオーストラリアの話題を中心にお届けします。

オーストラリアでは、気象現象が好きな人たちがグループを組んで、
嵐や大雨を文字通り追いかけています。

私がいたブリスベンにも"The Brisbane Storm Chasers"というグループがありまして、
一度、イベントに参加したことがあるのですが、彼らがアメリカに行って
竜巻を追った記録動画を永遠に見させられたことがあります。

彼らが防災時に果たす役割は興味深いテーマなのですが、
今日は"The Weather Chaser"というサイトをご紹介したいと思います。
http://www.theweatherchaser.com/

このサイトはLangarsonという民間のIT系企業が運営しているもので、
主に衛星画像や天気の観測カメラ画像、そして気象レーダー画像を紹介しています。

彼らのサイトの特徴は、過去のレーダー画像がストックされていて、
任意の期間を選べば自由に再生して動画を見ることができる点です。

これにより、過去の災害時の降雨をレーダー上で追体験できます。

ブリスベン(Brisbane)周辺では2011年1月に記録的な大雨になり、
各地で洪水被害が発生しました。

2011年1月9日~1月13日朝9時までの96時間の降水量を示したのが
下の図です(出典はBureau of Meteorology(オーストラリアの気象庁)のこちらのPDFです)。

右側の凡例が雨量を示し、単位はミリです。

紫系統の色となっている所で大雨となり、
最も多い所ではこの期間に600ミリ以上の降雨となりました。

出典:Bureau of Meteorology, 2011 筆者により説明を一部補記




















こうした図は大雨の分布を把握するのに適しています。
しかし、どのように雨雲がかかって雨を降らせたかは分かりません。

そこで役に立つのが、"The Weather Chaser"のアーカイブです。

以下のリンクをクリックすると、当時の雨雲の動きが分かります。
128km Radar Loop for Brisbane, 08:00 09/01/2011 to 08:00 13/01/2011 UTC
↑動画の切り抜き画像です






















多くの方にとって全く土地勘のない場所のレーダー画像かと思いますが、
黄色やオレンジの発達した雨雲が同じところにかかり続けていることが
視覚的に把握できるのではないかと思います。
これがブリスベンの北西の地域に大雨をもたらしました。

過去の災害がどのような進行過程を経て起こったのかをつかむには
気象レーダーのアーカイブを見ることが一番の近道です。

大雨となった雨の降り方を頭の片隅に入れておけば、
次の大雨の時にレーダーを見て、「以前、この地域に大雨をもたらした
雨と同じ降り方をしている」と気付くことができるのではないでしょうか。

過去のレーダー画像は、未来の災害に備えるための手がかりです。