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【コラム】「バックビルディング」を豪雨を見極める視点として使おう

今日はテレビの気象情報から何を得るかの番外編です。

話題的に時期を逃した感はありますが、2014年のユーキャン新語・流行語大賞の候補語に「バックビルンディング」という気象関係の用語が含まれていました。流行語大賞の候補語をまとめたサイト*1を見ると、2014年8月の広島豪雨発生メカニズムの解説から広まっていった言葉であるようです。

マスコミが取り上げた「バックビルディング」の説明(「積乱雲が建ち並ぶビルのように見えることから、バックビルディング現象と呼ばれる」といったようなもの)が、気象研究者から見たらトンデモだった*2というのもコミュニケーションを考える上では興味深いテーマですが、私が今回指摘したいのは、「バックビルディング」という言葉自体が単純に広まるだけでは災害対策上あまり意味がないという点です。

バックビルディングは、気象レーダー画面上で、視覚的に理解する必要があります。

どのような雨雲の様子がバックビルディングと解説されるものに該当するのかを過去のレーダーなどで把握しておくと、テレビで流れる気象レーダーやインターネット上で閲覧できるレーダーの画像を見て、「これはバックビルディングかもしれない」とピンとくることができるのです。

というわけで、バックビルディング図鑑を作ってみました。気象庁のホームページにあるキーワード検索に「バックビルディング」と入力し、引っかかってきたものなどから抜粋しています。

引用した資料によって見やすさや使っている資料はまちまちですが、どれも細い線状の形をしており、発達した雨雲がほぼ同じところにかかり続けたので大雨となったという特徴を持っています。

▼平成24年7月九州北部豪雨
http://www.jma.go.jp/jma/press/1207/23a/20120723_kyushu_gouu_youin.pdf

















▼平成23年7月新潟・福島豪雨他
http://www.jma.go.jp/jma/press/1108/04b/20110804_gouuyouin.pdf





















▼平成25年7月28日の山口・島根の大雨
http://www.jma.go.jp/jma/press/1308/06b/20130806_Yamaguchi-Shimane-heavy_rainfall.pdf





















▼平成26年8月19~20日にかけての広島県の大雨
http://www.jma-net.go.jp/hiroshima/siryo/20140820_sokuhou.pdf






















上記の例で見たような雨の降り方をレーダーで確認したら、局地的な大雨をもたらす相当危険な雨だと判断しましょう。災害も起こりえます。

気象レーダーを見ての判断は恐れずに。気づいた雨雲が本当にバックビルディングであるかどうかは、一般の気象情報の利用者である私たちにとっては問題ではありません。今後の大雨を見極める際の視点としてバックビルディングという概念を有効利用して、災害対策にお役立てください。


(参考資料)
*1:流行語大賞候補語をまとめたサイト
http://matome.naver.jp/odai/2139591219654639001?page=2
*2:「天気と気象について わかっていること いないこと ~ようこそ、空の研究室へ~」の2014年8月21日付記事参照
https://www.facebook.com/SoraLabo?fref=photo