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【地域の弱さを知る vol.13】危険な雨を知り、大雨を迎え撃つ

こんにちは。渡邉です。

今日は地域の弱さを知るシリーズの最終回としてのまとめ記事です(前回はこちら)。
大雨を「敵」と例えてみたら、これまで書き続けていたことが割ときれいにまとまりました。

明日・明後日のブログでは小ネタを挟んでいきます。

ではどうぞ。

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■危険な雨を知り、大雨を迎え撃つ
ここまで12回にわたって雨量面から地域の弱さを知る方法を書いてきました。例えが適切かどうかは別して、ここまでの議論の整理に役立つので大雨を「敵」として考えてみたいと思います。

まず、大雨による被害を減らすには、「敵」の強さを知らなければなりません。自分にとって手ごわい敵か、以前に負けたことがある「敵」かは重要な情報です。また、己の強さ(防御力)を知ることもいざという時の判断に役立ちます。

ある地域にとって手ごわい敵(災害をもたらす可能性のある大雨)を把握するのに便利なのが、50年に1回の規模の降雨という目安でした(こちらです)。そのほかにも、観測史上で上位に相当したり、月間降水量や年間降水量の何割かに迫ったりする雨も手ごわい雨です(こちらです)。

また、以前に負けたことのある敵(ある地域で災害が発生したことのある雨量)の記録は、大雨注意報や警報の発表基準(こちらです)や過去の災害履歴(この回この回です)、土砂災害警戒情報の発表基準(こちらです)に形を変えて活かされています。また、大きな河川に関する過去災害の記録も有効であると述べてきました(この回です)。

一方、敵に対する備えとしての防御力(治水関連のインフラの能力)は、洪水ハザードマップの想定雨量を見たり(この回)、下水道(この回です)や中小河川(この回です)の対応雨量を見たりすることで概要がつかめると説明してきました。

ある規模の大雨が予測されている時や実際に降り始めた時には、これら3つの要素(「量的に手ごわくないか」、「以前に負けたことはないか」、「防御力を上回らないか」)を把握したうえで気象情報を使っていく必要があるわけです。

気象情報を有効に利用することは、自分の地域の弱さを知ったうえで初めて可能です。テレビの気象予報などでこれまでの雨量や今後の見込みが伝えられても、それがこの地域にとって何を意味するかが分からなければ、つまり、「敵」(大雨のインパクト)と「己」(地域の強さ・弱さ)を知らなければ、残念ながらその情報は役に立つものではありません。

この点を念頭に置きながら、次のシリーズでは気象情報を利用する具体的な方法をご紹介していきます。

(「インターネット上で無料で手にすることができる気象と防災の情報とは」に続く)
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